自分の感情と向き合おう ケアする側が抱える心の問題

尽くす立場が抱える負の感情

「人の役に立ちたい」「人を救いたい」という思いから看護師という職業を選択した方は多いのではないでしょうか。中には、複雑な生い立ちであったり、過去の辛い経験がきっかけでそのような思いに至ったという方もいるようです。

患者の心と身体をケアすることは看護師の使命です。しかし過酷な労働環境から心の闇を抱えてしまい、そのストレスを吐き出すことができずに苦しむ方が多いのも事実です。心の傷や不満足感をバネに看護師を志望した方ほどその傾向が強いようで、例えば患者が漏らした些細な不満の一言や、感謝されなかったことに対して「こんなに尽くしているのに」と感じてしまい、そんな自分に嫌悪感を抱くという悪循環に陥ってしまうようです。

人を救いたいという純粋な思いからこの仕事に就いたはずなのに、自分が充足感を得るために患者を利用しているのではないかと、仕事そのものに疑問を抱いてしまうケースも少なくありません。しかしそういった悪循環を抜け出せば、心の闇は必ずしもマイナスになるばかりではありません。仕事によって充足感を得たいという思いは、人間としてとても自然な感情です。過去の悲しみや心の傷があるからこそ患者の良き理解者となることができ、本当の意味で患者のサポートができるのではないでしょうか。自身の過去やマイナスの感情を否定せず受け入れることで、患者の心の傷を癒すための手掛かりを見つけることができるに違いありません。